やむを得ず解雇をしなければならないこともある

解雇ってきくと、ネガティブなイメージがありませんか?
それは、残念ながら大部分の解雇が強引に行われることが多い
からです。

経営状況が悪くなった・・・
あの従業員はまったく仕事ができない・・・
あの従業員は気に食わない・・・

といったことで、辞めてもらおうとしている企業が多いのが実情です。
小さな企業では、こういった理由が企業存続にかかわることも
多く、見過ごすわけにはいかないのもよくわかります。
やむを得ず、解雇をしなければならないこともありますよね?

でも、やり方によってはこのイメージを変えられることも少なく
ありません。
できるだけポジティブなイメージ、つまりお互いの未来のために
なるにはどうすればいいでしょうか?
当オフィスでは、解雇の検討段階で以下のポイントが大切だと
考えます:
・従業員のことをよく知ってますか?従業員の性格や業務中の
態度、能力から解雇を検討した理由を考えてみる。
・現在の職場環境や企業のおかれている状況を本当に把握して
いるか振り返ってみる。
・従業員に経営者の言葉が本当に伝わっているか確認する。

そのうえで、問題点を洗い出してみましょう。
もし、問題点がわかれば、もしかしたら解雇する必要はないかも
しれません。
気になるところを改善すればいいだけです。
横領など、企業に大きなダメージを与えたなど明らかに従業員
側の悪質な行為を除き、本当にとる策がないとき、はじめて
解雇を考えることをおすすめします。
企業にとって雇用責任はやはり大きく、解雇は最終手段となる
からです。
その前に、必ず退職勧奨などのあらゆる手段を検討してみて
ください。

それでも、今までベストを尽くして経営を行ってきたことは
紛れもない事実です。
経営者ご自身が一番よくおわかりだと思います。
でもやっぱり一度立ち止まってもらいたい。
以前よりももっと後味よい結論を出すことができるかもしれない
のです。

解雇とは

少し解雇について書いてきましたが、解雇ってそもそもどういう
行為なのでしょうか?
解雇とは、
使用者の一方的な意思表示により労働契約を終了させること
となります。

では、従業員から労働契約を終了させることはなんというのでしょう?
それは、自己都合による退職です。

その他、一方的ではないものとしては定年退職、期間満了による
退職などあらかじめ合意されているものなどがあります。

さて、解雇の話に戻りますと、解雇には、普通解雇、整理解雇、
懲戒解雇
の3つがあります。
簡単にまとめますと以下のとおりです。

普通解雇

整理解雇、懲戒解雇以外の解雇です。
主に大きなできごとではないにせよ、改善を促したにもかか
わらず、何度も続くことで最終的に業務に支障をきたすものなど
があり、広範囲に渡ります。
一例をあげると、何度注意しても遅刻ばかりして改善の見込みが
ない場合ですね。

整理解雇

企業の経営悪化により、人員整理を行うための解雇
です。
整理解雇は、判断基準があり、客観的にみてその基準を
満たしていると納得できることが重要です。
その基準とは、
・人員整理を行う客観的な必要性があること
・解雇を回避するための努力を行ったこと
・解雇の対象となる人選の基準が合理的に行われていること
・解雇の対象となる人選の基準が合理的に行われていること
となっています。
とても厳しいことがわかりますね。

懲戒解雇

従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに、
懲戒処分として行うための解雇です。
懲戒解雇は上記の2つのものとは大きく異なり、原則、就業
規則等にあらかじめ懲戒処分の具体的内容が記載されている
ことが必要です。

いずれの解雇も、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上
相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものと
して、無効とする。
」と法律で定められています。なんだか
よく意味がわかりませんね。
平たく言うと、解雇した理由をきいたとき、きいた人の多くが、
これじゃ解雇されてもしょうがないよね、という理解を示す
レベルじゃないと企業側の権利濫用となって無効です、という
感じでしょうか?
整理解雇と同様、なかなか厳しいものがあります。

一般解雇するときのポイント

では、解雇すると方向性が決まり、実際に検討するときには、
どんなところに気を付ければよいのでしょうか?ここでは、
一般解雇のケースでみていきましょう。

まず、事実関係を把握します。
いつ、どこで、だれが、何をしたかということを確認しましょう。
次に、解雇を検討する従業員と話し、事実関係をどのように
とらえているか、企業から伝えたことがどのように伝わって
いるか確認します。
そして、それに対して改善の意思や本人の気持ちなどもよく
ききましょう。
そのうえで、企業としては改善を要求します。同時に、他の
従業員の話をきいたり、職場の雰囲気もよく観察しておきます。
複数回あるのであればそれぞれについて確認します。
その都度、忍耐強く従業員の話をしっかりきいて、お互いの
主張をまとめていく姿勢が大切です。
その際、就業規則や雇用契約書などにその根拠となるルールが
記載されてあれば、それに照らし合わせて話を進めることも
忘れてはなりませんね。

すぐに「クビだ!」といいたいお気持ちもわかります。
今まで懸命に積み上げてきたものがあるのですから。
でも、それがよくわかるからこそ、ここはグッとこらえてほしい
のです。

お互いにとってなるべくよい結論を出すことが大切

残念ながら、最終的に解雇をすることになっても、ベストを
尽くす
ことで、その後のリスクは大きく変わります。少しでも、
企業が自分の話をきいてくれたという気持ちがあれば、後々
訴訟に持ち込まれたりする確率は少なくなります。
一方的な契約終了だから、一方的にやっていいんだという考えは、
企業のためになりません。

普段の企業の対応がものをいう

いろいろと書いてきましたが、そもそも解雇に至らないことが
一番です。
採用の際の確認をしっかり行い、従業員の様子をよくみて
早めに手を打つ
それがお互いにとって一番よいのではないでしょうか?